FXの勉強をしていると、「環境認識が大事」という言葉をよく耳にします。高安値の切り上げ・切り下げを確認し、上位足の流れを見て、相場の方向を判断する。それが環境認識の定石です。
ただ、その通りにやってもなかなか結果につながらない、ということも実際よくあります。
これは環境認識のやり方が間違っているのではなく、環境認識に欠かせない視点が抜けているのが原因、というケースも少なくありません。
この記事では、相場を見る土台として欠かせない「波のリズム」という考え方を整理します。
この視点を押さえることで、相場の中で波が伸びやすい場面とそうでない場面の区別がつき、環境認識が機能するようになります。

この記事はこんな人におすすめ!
・FXで環境認識を学び、一通り実践している
・高安値や上位足を見ているのに結果が安定しない
・環境認識が噛み合わない理由を整理したい
環境認識の具体的な実践方法については、こちらの記事で解説しています。
1.環境認識をしても勝てない理由は「相場にハマっていない」から
1-1.上位足を見ているのに、判断が噛み合わない理由
環境認識をしても勝てない原因は、相場に自分の判断がハマっていない点にあります。
多くのトレーダーは、上位足の高安値や水平線、インジケーターを使って方向性を確認しています。これが、いわゆる環境認識の定石です。
しかし、上位足を確認し、定石通りに分析しているはずでも、結果が出ない場面は少なくありません。それは環境認識のやり方が間違っているというより、捉え方の精度が甘い状態と言えます。
形や方向は見ていても、値動きの流れと判断が一致しないままトレードしてしまいます。そのズレの正体は、相場の波のリズムを前提に認識できていないことです。
波のリズムを捉えられないと、単一の時間足でも方向性を誤って判断しやすくなります。これが、各時間足同士の認識がうまくリンクしない原因にもなるのです。
1-2.本記事でいう「波のリズム」とは何か
相場は常に一定の動きを続けるわけではなく、動きやすい局面と、動きにくい局面を繰り返しています。トレンド相場とレンジ相場が交互に現れる、この切り替わりそのものが、相場の持つリズムだと僕は考えています。
この動きを、波形や波形認識、相場のリズムなどと呼ぶ人もいますが、この記事ではまとめて「波のリズム」と呼びます。
人によっては、トレンドの序盤・中盤・終盤や、エリオット波動の1〜5波を思い浮かべるかもしれません。
それらも周期的な考え方の一つですが、本記事で扱う波のリズムは、トレンドだけでなくレンジ局面も含めた相場全体の状態を指します。
これは、値動きが進みやすいのか、止まりやすいのかという「相場のテンポ」を捉えるための視点です。この視点を持つことで、環境認識の前提そのものが整理されていきます。
2.チャートで見る「波のリズム」
2-1.波のリズムの全体像をチャートで俯瞰する
早速チャートを使って、波のリズムの全体像を見ていきましょう。

相場は一定の動きを続けるわけではなく、動きやすい局面と動きにくい局面を行き来します。
大きく分けると、相場の状態はトレンドかレンジのどちらかです。ただし、この2つは突然切り替わるのではなく、原則として移行局面を挟みます。
勢いよく伸びていた値動きが徐々に鈍くなり、方向性を探る時間帯に入る。この状態は、トレンドでもなく、かといって明確なレンジとも言い切れません。(定義上はレンジに分類されます)
しかし、こうした移行局面を含めて相場は連続しています。動き出す前、動いている最中、止まりやすくなる過程がつながっているのです。
僕は、この一連の流れ全体を「波のリズム」と呼んでいます。次は、チャートの一部を切り取り、このリズムをどう読み取るのかを確認していきます。
2-2.チャートで答え合わせする「動く前」と「動いた後」
ここからは、先の動きを隠したチャートを使って、波のリズムを確認しましょう。
大切なのは、次の値動きを予想することではありません。この時点で、相場がどの状態にあるのかを考えてみてください。

1枚目のチャートでは、値動きが落ち着き、ボラティリティが小さくなっています。この場面は、動く前でしょうか。それとも、すでに動いた後でしょうか。
波のリズムで見ると、相場は方向性を探っている移行局面にあります。つまり、この場面は動く前であり、タイミングは正確に分かりませんが、この後トレンドが発生すると期待できる状態です。

次に2枚目のチャートを見てみましょう。

価格はすでに大きく動き、その直後に伸びが失速しています。この場面は、動くでしょうか。それとも、すでに動いた後でしょうか。
この状態は、動く前ではなく、すでに動いた後の局面です。トレンドが終わりに向かっているため、この後は調整またはレンジになると考えられます。

今2枚のチャートで確認した、「動く前」と、「動いた後」。実は、相場を見るポイントはこの2つに集約されます。なぜこれだけで判断が整理されるのかは、次の章で解説します。

で、問題はその「動く前」と「動いた後」をどうやって判断するかですよね。
2-3.波のリズムとボラティリティの関係
相場は大きく見ると、トレンドとレンジに分けられます。そこに「ボラティリティの拡大と収縮」という視点を重ねることで、波のリズムがより明確になります。
波のリズムと相場状態の整理
| 相場の状態 | ボラティリティ | 波のリズム | 伸び代 | トレード視点 |
|---|---|---|---|---|
| レンジ(荒れ) | 大きい | 不安定 | 不明 | 基本見送り |
| レンジ(収縮) | 小さくなる | 動く前 | あり | エントリー準備 |
| トレンド序盤〜中盤 | 拡大 | 動いている | あり | 序盤は狙いやすい |
| トレンド終盤 | 拡大し切る→鈍化 | 動いた後 | なし | 新規NG・整理 |
トレードで狙いやすいのはトレンドですが、本質的に見るべきなのは「伸び代が残っているかどうか」です。
レンジでもボラが収縮している場面は、これからトレンドが発生する可能性が高く、相場が“動く前”の状態にあたります。
一方、トレンドであってもボラが拡大し切ったあとは、この後は収縮に向かうしかなく、伸び代は限られます。ここは“動いた後”であり、新規に手を出すべき場面ではありません。
動く前を相場から見つけてエントリー準備し、そのままトレンドが発生したらエントリー。動いた後の状態になったら、ポジションを整理する。
結局、トレードはこれだけでいいのです。
3.環境認識のズレをなくす考え方
3−1.波のリズムを判断にどうつなげるか
ここまで、相場は波のリズムを持って動いている、という話をしてきました。この波のリズムは、一つのパターンを一定のテンポで繰り返しています。
そのため、定石通りに環境認識をしていても、波のリズムと噛み合わなければ、成績は安定しません。
波のリズムは、感覚的に捉えた方が全体像をイメージしやすい部分でもあります。僕自身は、大縄跳びに入るタイミングを測るようなイメージで見ています。
そして2−3で整理したように、この波のリズムは、ボラの拡大と収縮に着目することで、より明確に捉えられます。こうした部分は、視覚的に分かりやすい補助があると、さらに精度を高めやすくなります。

補助ツールも色々ありますが、実はすでに使っているものでも活用できます。
3−2 波のリズムを見失わないための視覚的な捉え方
波のリズムを判断するうえで、 ボラの拡大と収縮は、視覚的に確認できると判断の精度が上がります。
例えば、各MA(移動平均線)の位置関係。 短期・中期・長期のMA同士の乖離が広がり始めると、値動きの幅が広がり、ボラが拡大して波が動き出したサインになります。 逆に各MAが近くに集まっている状態は、 値動きが収縮し、ボラが小さい局面です。
ボリンジャーバンドも同様に、 バンドが開き始める動きはボラの拡大、 バンド幅が狭い状態はボラの収縮を示します。 僕自身は、このボリンジャーバンドのバンド幅を使って判断しています。
こうした視覚的な補助を使うことで、 波の勢い、つまりモメンタムの状態も判断しやすくなります。
- 勢いが溜まりつつあるのか
- 勢いが乗っている最中なのか
- すでに勢いを使い切り始めているのか
この違いが見えてくると、 「伸び代がある場所」と「もう伸びにくい場所」の区別が より明確になります。
まとめ
本記事では、FXにおける環境認識の定石が噛み合わなくなる原因を、 「やり方」ではなく相場の波のリズムという視点から解説してきました。
環境認識がズレる原因は、分析不足や知識不足ではありません。 高安値やトレンド方向、上位足の流れといった定石はできているのに、結果が安定しないのは、仕掛ける位置が相場のリズムと合っていないからです。
相場はトレンドとレンジを行き来し、ボラの拡大と収縮を交互に繰り返しています。 本記事では、この流れを「波のリズム」として整理しました。
環境認識で重要なのは、 「どちらに動くか」ではなく、今が動く前なのか、すでに動いた後なのかという視点です。
本記事のポイントは、次の4つです。
- 環境認識の定石が機能しない原因は、波のリズムとのズレ
- 相場はトレンドとレンジを行き来し、ボラの拡大と収縮を交互に繰り返す
- 相場を見る軸は「動く前」と「動いた後」の2つ
- 波のリズムを意識することで、環境認識の精度が一段上がる
FXにおける環境認識の定石は、波のリズムという土台の上に乗せてこそ、本来の力を発揮するものです。 波のリズムという視点を取り入れ、環境認識をもう一段、実践的なレベルへ引き上げていきましょう。
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