「損切りにかかってから順行した…」
「利確をどこに置けばいいか迷う…」
「複数ラインが重なったときの優先順位が分からない」
——水平線を引いても悩む人は多いでしょう。
実際に、水平線を引けても“その後どう活用するか”でつまずくケースは少なくありません。
この記事では、前回の記事で解説した「水平線の引き方」に続き、実戦での使い方を掘り下げます。
エントリー方法、損切りと利確の設計図、複数ラインの整理法まで体系的にまとめました。
水平線をトレード戦略に落とし込みたい人にとって、実践的なヒントが見つかるはずです。

【この記事はこんな人におすすめ!】
・水平線を引いたあと、どう使えばいいか迷っている人
・「損切りにかかってから順行した」をよく経験する人
・利確の置き方やラインの優先順位に悩んでいる人
前回記事「【完全ガイド】FX水平線の正しい引き方と失敗しないコツ」についてはこちら。
1. 水平線を使ったエントリー戦略
FXで水平線をトレードに活かす基本は、相場の節目でエントリーの精度を高めることです。
ここでは、押し戻りを狙う方法と、ブレイクアウトを狙う方法を図解付きで解説します。
1-1 押し戻りでエントリーする方法とメリット
押し戻りでのエントリーとは、上昇トレンドなら押し目、下降トレンドなら戻りを狙う手法です。
具体的には、トレンド中に一時的な逆行が入り、短期足で再度トレンド方向へ動き出したのを確認して入るイメージです。
- 上昇トレンドの場合:押し安値で買い
 - 下降トレンドの場合:戻り高値で売り
 
このとき、直近の高値や安値に損切りを置けるため、損失を限定しやすいのが特徴です。
さらに、直近の高安値に引きつけてエントリーすることで、損切りまでの幅を小さくし、リスクリワードを大きく取れるのが大きなメリットです。

ただし、短期的には逆行で入るため、トレンドフォローという観点では矛盾を抱える面もあります。
それでも、リスクを抑えながら大きな利益を狙える可能性があるため、多くのトレーダーに利用される手法です。
1-2 ブレイクアウトでエントリーする方法とメリット
ブレイクアウトでのエントリーとは、レンジや押し戻りの高値・安値を価格が突破したタイミングで入る手法です。
トレンドがすでに伸びている状態からエントリーするため、勢いが止まらなければ順行しやすいという点がメリットです。
- 上昇ブレイク:レジスタンスライン突破で買い
 - 下降ブレイク:サポートライン突破で売り
 
押し戻りよりも必ずしも大きな値幅を取れるわけではありませんが、トレンドに乗り遅れにくく、素直に流れに従いやすいのが強みです。
また、判断がシンプルなため、複雑な見極めに時間をかけずに済む点も利点といえます。

一方で、ブレイク直後は高値掴みや安値掴みになる可能性もあり、ダマシに遭いやすいのが注意点です。
それでも、トレンドの力に乗れる可能性が高い手法として、多くのトレーダーに支持されています。
1-3 押し戻りとブレイクアウトの使い分け
押し戻りとブレイクアウト、どちらを選ぶかは「状況次第」ではありません。
むしろ、状況を理由に手法を使い分けるのは絶対に避けるべきです。
トレンドに対する考え方そのものが違うため、選ぶべき基準は「自分の軸」となります。
状況次第でコロコロ変えてしまうと、手法の一貫性がなくなり、再現性も失われ、最終的に必ず負けてしまいます。
大切なのは、自分が納得できる考え方に基づいて、押し戻りかブレイクアウトのどちらかを選ぶことです。
以下、それぞれのメリットとデメリットをまとめます。
押し戻りのメリット・デメリット
メリット
- 損切りを直近の高安値に置けるため、リスクを限定しやすい
 - リスクリワードを大きく取りやすい
 - トレンド転換に早めに乗れる場合もある
 
デメリット
- 短期的には逆行でエントリーするため、トレンドフォローの観点では矛盾がある
 - 短期足で再度順行に見えても、そのまま逆行してしまうリスクがある
 - 見極めの難易度が高い
 
ブレイクアウトのメリット・デメリット
メリット
- トレンドの勢いに乗りやすく、順行しやすい
 - 勢いが続くと、大きな値幅を取りやすい
 - エントリー根拠がシンプルで迷いが少ない
 
デメリット
- 上昇トレンドでは高値掴み、下降トレンドでは安値掴みになることがある
 - 押し戻りに比べて損切り幅が大きくなることがある
 - ダマシのブレイクで損切りになるリスクがある
 
僕はブレイクアウトを使っています。
理由は、順行しやすいことと、伸びるときに大きな値幅を取りやすいことです。
ただし、上昇トレンドでは高値掴み、下降トレンドでは安値掴みになるリスクがあります。
一方で、押し戻りにはリスクを限定できる良さがありますが、見極めの難しさや矛盾も伴います。
どちらが正解ということではなく、どちらにも勝っているトレーダーは存在します。
だからこそ、何度も検証して徹底して使い込むことが重要です。

エントリーに限らず、どんな手法も実践の前にまずは検証やデモをしましょう
2. 損切りと利確の設計図
損切りや利確をどこに置くかは、トレード全体の成否を大きく左右します。
水平線を根拠にするのは、数ある手法の1つですが、シンプルで使いやすく再現性のある方法です。
ここではその基本的な考え方を解説します。
2-1. 水平線を根拠にした損切り設定
損切りは「シナリオが崩れた」と判断できる位置に置くのが基本です。
まずは 直近の高値や安値に水平線を引き、そのすぐ外側に損切りを置く ことから始めましょう。
このとき注意すべきは「損切りの位置」です。
- 近すぎる損切り → ヒゲに触れてすぐ狩られ、その後に順行することが多い
 - 遠すぎる損切り → 損切り幅が広がり、リスクリワードが悪化してしまう
 
この「近すぎ・遠すぎ」の失敗は、多くの初心者がつまずくポイントです。
補足ですが、僕は 直前のサポートやレジスタンスに損切りを置く方法 も使っています。
リスクリワードを良くできる反面、精度の高い損切りの置き方が求められるため、やや上級者向けかもしれません。
僕は、実体を中心に判断しているので、実体から5pips程度外側に損切りを置いています。ただし、適度な置き方をしていても、場合によって狩られることはあります。
2-2. 利確を水平線に置く方法
利確の方法は損切りに比べてバリエーションが多く、トレーダーによって異なります。
その中で、水平線を使うのは シンプルで有効な手法 です。
例えば:
- 上昇トレンドで買い → 次のレジスタンス付近で利確
 - 下降トレンドで売り → 次のサポート付近で利確
 

この方法のメリットは、手堅く利益を上げられる ことです。
その理由は、トレンド中は売買の攻防がなく優位性が偏っており、次のサポート・レジスタンスを目指して伸びやすい ためです。
また、損切り位置と合わせれば 事前にリスクリワードを計算できる のも利点です。
ただし、僕は現在この方法を使っていません。理由は以下の通りです。
- 勢いが強いとさらに伸びることがあり、途中で決済するのはもったいない
 - 最高値や最安値更新では次のサポート・レジスタンスが存在しない(GOLD、日経225、BTCなど)
 - 相場の多数派が意識しているサポート・レジスタンスと、自分が利確目標として見ている水平線がズレていることがある(多数派はより上位足のサポート・レジスタンスを見ているなど)
 
そのため、僕は 損切りを追従させて、逆行したら自動的に決済されるスタイル を採用しています。
とはいえ、やり方は人によって様々です。
まだ自分のルールが決まっていない方は、まずは 次のサポート・レジスタンスで利確する方法 を試してみると良いでしょう。検証や実際のトレードを重ねることで、自分に合ったやり方が見えてきます。

手堅く利益が上げられると、トレードそのものに加えてメンタルも安定します
2-3: 高安値の更新幅からトレンドの勢いを測る
トレンド中は直近高値・安値の更新ごとに水平線を動かしていきますが、更新幅はトレンドの勢いを映す重要なサインです。
更新幅が広いほど力強く進んでいる証拠であり、利確を急ぐ必要は薄いと判断できます。
逆に、終盤になると更新幅が次第に狭くなり、上昇なら上値が重く、下降なら下値が固くなってきている兆候です。

この「更新幅の縮小」はトレンドの転換や失速の予兆になるため、利確を検討する前のチェックポイントとして活用できます。
実際に利確を水平線に置くかは別としても、勢いを把握しておくことで、トレード判断の精度が高まります。
3.複数の水平線の整理と優先順位
複数のラインが重なったり、価格帯が密集する場面では、水平線の見方に工夫が必要です。
ここでは、その整理方法と優先順位の考え方を解説します。
3-1. 時間足による強弱の考え方
水平線の強弱は「どの時間足で引いたか」で決まります。
基本的には 時間足が長いほど強い と考えてください。
実際のトレードでも、日足 や 4時間足 の水平線は価格がしっかり止まりやすく、多くのトレーダーに強く意識されています。
一方で、15分足や5分足の水平線 は短期的な動きを捉えるのには役立ちますが、ダマシが起きやすい傾向があります。
特に 5分足では頻度が高く、15分足でも時々起こる ことがあります。
具体的には、一度実体で抜けてから戻ってくるような動きです。
このように「時間足が長いほど水平線の信頼度は高い」というシンプルなイメージを持っておくと、複数のラインがあるときの整理や優先順位付けがしやすくなります。
補足ですが、水平線は時間足によって反応する精度に誤差があります。
- 長期足ほど強度はあるが、誤差は大きい
 - 短期足は強度は弱いが、効く時の誤差は小さい
 
3-2. 複数の水平線が密集したときの見方
水平線は、時間足ごとに1本ずつ引くのが基本です。
そうして引いた水平線が、複数の時間足で近い価格帯に重なることがあります。
こうした場面では、それぞれをバラバラに見るのではなく、全体をひとつの帯(ゾーン)として捉えるとシンプルに考えられます。
幅のあるその価格帯全体が、相場参加者に強く意識されているからです。
複数の時間足で意識される価格帯は、それだけ強力なサポート・レジスタンスになりやすく、簡単には抜かれません。
特に、トレンドの調整局面で次のような現象がよく起こります。
- 4時間足・1時間足・15分足の水平線が近い価格帯に密集する
 - それらがまとまって「帯」となり、強いサポート・レジスタンスとして機能する
 - その帯で価格が反発し、再びトレンド方向へ大きく伸びていく
 
このような帯は、簡単には抜けない強力な壁と考えることができます。
イメージとしては「瓦割り」です。
瓦1枚なら簡単に割れても、3枚重ねると一気に強度が増し、割るのは難しくなります。
水平線も同じで、1本よりも複数重なることで格段に強力な抵抗帯になるのです。

まとめ:水平線はトレード全体の羅針盤
本記事では、水平線を実戦にどう活かすかを解説してきました。
押し戻りやブレイクアウトのエントリーから、損切り・利確の設定、複数時間足の水平線の見方まで、トレード全体を通して使える方法を学びました。
水平線を実際のトレードに落とし込む際、意識すべきポイントは次の通りです。
- エントリー:押し戻りは堅実だが機会損失もあり、ブレイクアウトは勢いに乗れる反面だましも多い
 - 損切り:直近高安値を基準に置き、トレンドが伸びる局面では高安値更新に合わせて移動させる
 - 利確:次のサポート・レジスタンスや水平線を目安にしつつ、トレンドが強いときは損切りを追従して利益を伸ばす
 - トレンド把握:高安値更新幅の大小で勢いを測り、終盤かどうかを判断する
 - ゾーンの認識:複数時間足の水平線が重なる帯は、特に強力なサポート・レジスタンスとして意識する
 
これらを体系的に活用することで、水平線は単なる「線」から「戦略の基盤」へと進化します。
その結果、エントリー精度が上がるだけでなく、損切りや利確の判断にも一貫性が生まれ、トータルの勝率と期待値を押し上げることができます。
水平線を単なる目印として見るのではなく、トレード全体の判断基準として“羅針盤”のように活用することが大切です。
ここまで学んだ内容を繰り返し検証することで、トレード全体の質を大きく向上させることができるでしょう。
					-160x160.png)
-160x160.png)