FXの理解が進んでくると、少額資金では資金が増えにくいと感じることがあります。
複利運用やピラミッティング、追加エントリーなど、資金を増やす方法はいくつかありますが、実践となると難しさを感じる人も少なくありません。
この記事では、FXの実践経験をもとに無理なく取り入れやすい追加エントリーの考え方を解説します。

【この記事はこんな人におすすめ!】
・少額資金でFXを続けていて伸び悩んでいる
・単発トレードは理解できてきたが物足りない
・ピラミッティングが難しいと感じている
・追加エントリーに興味はあるが踏み出せない
ピラミッティングの基本から実践までを学びたい方は、こちらの記事で解説しています。
1.なぜ少額スタートで追加エントリーを選んだのか
1-1. ピラミッティングを断念した理由
僕が一度はピラミッティングに挑戦しながらも断念した理由は、再現性が低かったからです。検証では機能する場面もありましたが、成績が安定せず実用レベルに届きませんでした。
手法そのものより、僕の性格には合わなかったんですね。僕はトレンドを確認してからエントリーしたいタイプで、逆張りスタイルでは遅れがちでした。
全体として運用の難易度も高く、成績の安定を最優先に考えて断念しました。
- 検証で成績が安定せず、実用化できなかった
- トレンド確認後に入りたい性格と逆張りスタイルが合わなかった
- 運用難易度が高く、安定重視の方針と噛み合わなかった
1-2. 安定したトレードなら積み増しは可能だと感じた
成績の安定を優先して、僕はピラミッティングをやめて単発トレードに切り替えました。時間はかかりましたが、ルールを修正していく中で成績は安定します。
まずは再現性のある形を作ることが、当時の自分には最優先でした。
ただ、トレンドが継続する場面では、途中で新規エントリーできるポイントが出てきます。なのに、すでにポジションを持っているため、そのチャンスを見送るわけです。
そうすると、そのたびに「ここは取れたな」「もったいないな」という感覚になりました。別に強気に攻めてポジションを重ねたいわけではありません。
でも、通常の新規エントリーができるポイントなら、資金管理次第で追加できると考えたのです。
- 単発トレードで成績は安定した
- トレンド継続中に新規エントリーポイントが来る
- 強気に重ねたいわけではなかった
- 資金管理を前提に追加の余地を感じた
1-3. そこで選んだ“追加エントリー” という選択
追加エントリーは、何か新しく考え出した手法ではありません。通常なら新規でエントリーできるポイントで、たまたまポジションを持っているだけです。
もしその時点で一度撤退していれば、改めて入り直す場面とも言えます。ポジションがあるため結果的に「追加」になるだけで、判断自体は単発と変わりません。
実際、他のトレーダーでも追加エントリーや買い増しをしている話はよく耳にします。細かいやり方は違っても、行き着く考え方は大きく変わらないはずです。
エントリーポイントなのに、単発と決めているだけで見送る理由はないですよね。追加エントリーは、単発トレードの延長線上で、現実的に利益を積み増す方法だと感じています。
- 通常の新規エントリーポイントと同じ判断
- 撤退していれば入り直す場面
- 単発と決めて見送る必要はない
- 追加になるかどうかはポジション状況の違い
2.追加エントリーの前に決めるべきルール
2-1. 含み益ポジションだけに限定する理由
このルールは、とても単純な理由から決めています。含み益が出ていない状態で追加すると、リスクが過大になるからです。
すでに持っているポジションが含み益なら、最悪は建値撤退もできます。その場合、リスクを負うのは追加したポジション分だけです。
一方で、含み損のポジションに追加すると話が変わります。元のポジションと追加分、両方が同時に損切りになる可能性があります。リスクが二重になるので、場合によっては想定以上の損失になるかもしれませんよね。
だから追加は、必ず勝っているポジションに限定しています。
- 含み益がある状態でのみ追加する
- 建値撤退できる前提を作る
- 追加分だけが1トレード分のリスク
- 含み損への追加は避ける

含み益で追加することで、ポジションが複数でもリスクは1トレード分になるからこそ、単発よりも期待値が大きくなります。
2-2. “高安値の更新後” を条件にする意味
追加エントリーは、相場が初回エントリー時より一段進んだと確認できたときだけ行います。その判断基準が、高値(安値)の更新です。
たとえばレンジブレイクで初回エントリーした場合。一度レンジ内に戻って、もう一度上抜けたとしても、高安値を更新していなければ追加はしません。

押し戻りを狙うトレンドフォローでも考え方は同じです。伸びる前にもう一度押し戻りが入っても、高安値の更新がない段階では見送ります。

いずれも同じ局面のままで、まだ初回エントリーの建値以上が確定していません。追加エントリーは、「チャンスが増えたから」ではなく、相場が前に進んだあとに行うものです。
2-3. トレンド崩れでは追加しない判断基準
高安値の更新が続いている限り、同じ考え方でさらに追加を検討することもあります。
ただし、無理に重ねることはしません。追加エントリーは、あくまでトレンドが素直に継続しているときだけ行います。
高安値の更新が止まったり、想定していた値動きとズレが出てきた場合は、その時点で追加は考えません。天底を当てようとするのではなく、「流れが続いているかどうか」を基準に判断しています。
また、追加を重ねるほど、エントリー位置は天井・底に近づいていきます。
そのため僕は、ポジション数が増えすぎないようにも意識しています。あくまで、成績の安定を崩さない範囲までです。(具体的な考え方については、次章で触れます)
3.実践編|更新ベースの追加エントリー戦略
3-1. 追加エントリーとは何か(全体像)
この記事では、高安値の更新後に行う追加エントリーを、区別のために「更新ベースの追加エントリー」と呼びます。
一般的に言われるピラミッティングとは、考え方と運用の前提が少し異なります。まずは違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | ピラミッティング | 追加エントリー |
|---|---|---|
| 方向 | 逆張り寄り | 順張り |
| 初動 | 伸びる前に仕込む | 伸び始めで入る |
| 追加 | 伸び始めで重ねる | 高安値の更新後に入る |
| リスク | 全ポジション | 最新ポジションのみ |
この追加エントリーでは、単発トレードと同じ条件でエントリー判断を行います。その時すでにポジションを持っていれば、結果として「追加」になるだけです。
先に積み上げるのではなく、相場が前に進んだことを確認してから重ねる。そのため、複数ポジションを持っていても、リスクは常に最新の1トレード分に限定されます。
ピラミッティングのように強く攻めるのではなく、単発トレードの延長線上で、取れるところだけ少し厚くする。それが、この追加エントリーの位置付けです。
3-2. 4ステップで見る追加エントリー手順
ここでは、チャートを1つ用いて、僕が実際に行っている追加エントリーの手順をシンプルに解説します。
細かな波の判断や細部の見極めは人によって異なるため、ここでは動作の流れにフォーカスし、各ステップでどのようにリスク管理しているかを明確にしていきます。

追加エントリーの基本ステップ
(1)初回エントリー
・高値(または安値)の更新を確認して順張りエントリー。
・エントリー後、直近の高安値を基準に損切りを移動。
・まだ建値には届かないため、この時点ではトレード全体でリスクを負っている状態。
(2)2つ目のポジションを追加
・再び高安値を更新したタイミングで追加エントリー。
・1つ目の損切りは建値以上(プラス域)に移動し、利益が確定している状態となる。
・実質的にリスクを負っているのは、この最新ポジションのみ。
(3)3つ目(最後)の積み増し
・同様に更新のタイミングで3つ目をエントリー。
・1つ目・2つ目はすでに建値以上で確定済みのため、損失リスクはない。
・この時点でリスクを負うのは、3つ目のポジションのみとなる。
※これ以上は深追いせず、積み増しはここで終了。
(4)利確(決済)※例外あり
・3ポジション目以降は追加せず、高安値更新に応じて損切りだけを段階的に移動。
・トレンド終盤で逆行した際、損切りにかかって自動的に全ポジションが決済される。
・結果的に、トレンドの終了=利確ポイントとなる運用方法。
追加エントリーの考え方(全体像)
- 単発トレードと同じ条件でエントリーを判断する
- 高安値の更新後にだけ追加する
- 過去のポジションは建値以上で守る
- リスクは常に最新の1ポジションのみ
重要なのは、追加のたびに過去ポジションは建値以上で守られている点です。実質的にリスクを負っているのは、常に最新の1ポジションだけ。
その後は、高安値の更新に合わせて損切りを追従させるだけで、トレンドの終了がそのまま利確になります。
2つ目のポジションを入れるタイミングは、あえて「更新1回ではなく、2回目の更新を待ってから」入れるケースもあります。この方法だと、
・1つ目の損切りが建値より上に移動していることが多く、
・仮にその後逆行しても、2ポジション目の損失を1ポジション目の利益で相殺できる可能性が高くなります。
つまり全体で±0、あるいはわずかにプラスで終えることも十分可能。安全性重視の場合は、このタイミング調整も有効な戦略です。
3-3. 注意点と使いどころ(勝ち筋を作るポイント)
この追加エントリーのやり方は、やり過ぎなければ強い、が結論。実践では次の4点だけ押さえればOKです。
- ポジションは最大3つまで
追加しすぎると天底を掴みやすくなる。深追い防止の上限として3ポジまで。 - ロットはすべて同一
ロット(許容損失額)を変えないことで、リスクは常に「最新ポジション1つ分」に保てる。 - 追加できなくても問題なし
条件が揃わなければ、初回エントリーだけで終わってOK。 - チャンスは少ない
トレンドが明確な場面だけ使う手法。常用せず、使える時だけ使う。
ひとことで言うと追加エントリーは「攻め」ではなく、順張りトレードの延長です。

チャンスが多くないとは言っても、リスクは単一エントリーと同じでリターンだけ数倍になるので、資金効率が劇的に向上します。
まとめ|少額資金でも実践できる勝ち筋
FXは少額資金だと不利に感じやすいですが、やり方次第で、無理のない勝ち筋を作ることはできます。
一発で増やすことを狙わなくてもいいし、難易度の高い手法を無理に選ぶ必要もありません。腰を据えて、再現できるトレードを積み上げていくことが、結果的に一番の近道になります。
この記事で紹介した追加エントリーも、その選択肢のひとつです。特別なテクニックではなく、あくまで単一エントリーの延長線上にある考え方に過ぎません。
追加エントリーのポイントは、次の通りです。
- 初回は、いつも通り順張りで入る
- 相場が伸びたと確認できた時だけ追加する
- リスクは常に最新ポジションのみ
- 無理せず、できたらラッキーくらいの感覚で使う
毎回使う必要はありませんし、追加できない場面では単一エントリーで十分です。
「勝ち続けるために、続けられるやり方を選ぶ」
そのための一つの考え方として、この追加エントリーの話が参考になれば嬉しいです。以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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