FXで損切りするべきか迷い、つい「もう少し待てば戻るかも」と思ってしまう――。
その気持ちは誰もが経験することで、損切りに恐怖や後悔を感じるのは自然なことです。
損切りを先延ばしにすると、含み損が膨らむだけでなく、大損につながったり、メンタルが乱れてトレード判断が鈍ることもあります。
この記事では、損切りに振り回されないための考え方と、損切りを実践する際に押さえておきたいポイントを解説します。
読めば、FXで冷静に判断しながら、長期的に安定してトレードを続ける力が身につきます。

【この記事はこんな人におすすめ!】
・損切りのルールを守れず迷ってしまう人
・損切りでメンタルが乱れやすい人
・損切りの考え方がよくわからない初心者
・損切りしないで待つクセを直したい人
1. なぜ「損切り不要論」が生まれるのか
1-1. 「損切りしないで待てば助かる」と思う瞬間
FXをしていると、含み損を抱えても相場が反転して助かった経験を持つ人は多いでしょう。
特にレンジ相場では、一時的に逆行しても最終的に建値に戻ることがあり、その成功体験が強く残ります。
その結果「損切りは不要だったのでは」と感じ、待つことが正解だと思い込んでしまうのです。
しかしこれは偶然にすぎず、長期的には資金を危険にさらす考え方です。
たまたま救われた経験は、一見すると有効に見えても、本来のリスク管理を歪める要因になってしまいます。
- レンジ相場で建値に戻った体験
- 反発上昇に救われた記憶
- 偶然の成功を普遍的なルールと誤解する
1-2. 「損切りするから勝てない」と感じる理由
損切りを繰り返すと資金が減り続け、「損切りさえしなければ利益になった」と考える人は少なくありません。
特に短期間で損切りが連続すると、トレードそのものに自信を失い「損切り=負け」と結びつけてしまうのです。
さらにSNSや掲示板では「損切りするから負ける」という意見が広まり、誤解を強める要因となります。
しかし実際には、損切りが原因で負けているのではなく、根拠のないエントリーや資金管理不足こそが本当の問題です。
この誤解を解かない限り、トレードは安定しません。
- 損切りの連続で資金が減る
- 「損切りしなければ勝てた」と錯覚する
- ネット情報が誤解を強める

損切り位置が甘いと、ヒゲで狩られてから順行するというのもあるあるです
2. 誤解を整理する:損切りを否定する考え方の落とし穴
2-1. 損切りしないトレードの短期的メリット
損切りをせずに待つと、短期的には含み損が反転して利益になることがあります。
特に相場のレンジや一時的な逆行では、損切りをせずに耐えた方が結果的に建値付近まで戻ることもあり、心理的に「損切りをしなくて正解だった」と感じやすいです。
この成功体験は、偶然の結果である場合がほとんどで、長期的に繰り返すと資金を危険にさらす原因となります。
短期的メリットに惑わされることなく、冷静にリスク管理を意識することが重要です。
- 含み損が反転して建値に戻るケース
- レンジ相場での偶然の利益
- 成功体験が誤解を強める
2-2. 損切りしないことがもたらす長期的リスク
損切りをせずに含み損を抱え続けると、資金が徐々に減るリスクが高まります。
相場は常に変動するため、一度の反発で助かることもあれば、そのままトレンドが拡大して損失が膨らむこともあります。
特にナンピンや祈りのトレードを繰り返すと、最終的に大きな損失につながり、資金管理の失敗に直結します。
長期的に利益を積み重ねたい場合、損切りを避ける考え方は非常に危険だと言えるでしょう。
また、仮にレートが戻ってきて助かったとしても、それまでは証拠金をホールドされているため、次のトレードができません。
これは、機会損失につながります。
- 反発がなくトレンドが続く場合の損失拡大
- ナンピンで資金を圧迫する危険性
- 長期的な資金運用におけるリスク
ナンピンとは、含み損を抱えている状態で新たなポジションを持つことを言います。
1つ目のポジションが逆行している状態で、2つ目の新規ポジションを持つことで、反発して順行方向に戻ると2ポジション分の大きなリターンが得られます。
しかし、そのまま逆方向にどんどん進むと、1つ目のポジションだけでなく、追加エントリーした2つ目のポジションまで損失を抱えてしまうため、非常にリスクの高い行動でもあります。
上級者が戦略的に活用する例外を除いて、基本的には避けるべきです。
2-3. 損切り貧乏になる本当の原因
損切りを繰り返すだけで負けてしまうのは、損切り自体が悪いわけではありません。
根本的な原因は、エントリー根拠の曖昧さや資金管理の不備にあります。
損切り幅を適切に決めず、感情で判断すると、損切りの回数ばかりが増えて「損切り貧乏」になってしまいます。
重要なのは、損切りをルール化し、ロットサイズや許容損失額と結びつけて計画的に運用することです。
これにより損切りは資金を守る手段として機能します。
- エントリーの根拠が不明確
- ロット・損失許容額の管理不足
- 感情で損切りすることによる資金圧迫

損切りに限らず、エントリーも含めてトレードは全て根拠を持って判断するのが鉄則です
3. 本質を理解する:損切りの正しい役割
3-1. 損切りは「資金を守る命綱」
どんなに精度の高い手法でも、勝率100%はあり得ません。
FXでは予測どおりに動かないことが前提であり、逆行した場合の損失を最小化する手段として損切りは不可欠です。
損切りを入れることで、口座残高を大きく削られるリスクを避け、次のチャンスに資金を残せます。
損切りがあるからこそ、1度の負けで証拠金を全て失い、退場するということを避けられるのです。
このように、損切りは単なる「負け」ではなく、リスクをヘッジして生き残るための命綱として機能します。
- 勝率100%は存在しない
- 逆行で大きな損失を避けられる
- 損切り=次のチャンスに資金を残す手段
3-2. 再起のチャンスを残すための仕組み
損切りは負けを最小化するだけでなく、トレードを継続するための再起のチャンスを残します。
大きな損失を抱えたまま次のトレードに臨むと、心理的に焦って無計画な取引をしてしまいがちです。
逆に損切りで損失を限定すれば、冷静に次の戦略を考えられます。
この仕組みを理解することで、損切りが「負け」ではなく、勝つための準備と認識できるようになります。
- 損失を限定して心理的負担を減らす
- 冷静に次の戦略を立てられる
- トレードを続けるための準備になる
3-3. 損切りは「負け」ではなく「必要経費」
損切りは損失を出す行為に見えますが、長期的に利益を出すためには避けられない必要経費です。
ビジネスで例えると、材料費や運営費のようなもので、利益を生むために支払うコストと考えられます。
この考え方を持つことで、損切りに対するネガティブな感情が減り、計画的にリスクを管理しやすくなります。
結果として、損切りを恐れずに戦略的にトレードできるようになるのです。
- 損切り=必要経費として認識
- 感情的な抵抗が減る
- 計画的なリスク管理が可能になる

つまり、事前に想定しておくべきもの、ルールに組み込んでおくべきものなのです
4. 実践に落とし込む:損切りと向き合う方法
4-1. 資金管理と損切り幅の考え方(損失許容額=ロットで決める)
損切りを設定するときは、「損失許容額」から決めるのが基本です。
損切り幅と損失許容額からエントリーするときのロットを決めます。
こうすれば、仮に損切りになったとしても想定した損失許容額に収まるというわけです。
たとえば口座残高の2%を上限に設定し、その範囲でロットを調整します。
初心者のうちは、まずは少額ロットでメンタルへの負荷を減らすことが大切です。
口座残高が100万円で、許容損失額を2%にする場合は2万円となります。
損切りになった時に失うのは、この2万円です。
ドル円のトレードで損切り幅が40pipsなら、エントリーするときのロットは5000通貨となります。
慣れてきたら、チャンス局面だけリスクを少し上げ、5%程度まで許容するのも選択肢です。
- 基本は損失許容額からロットを逆算
- 初心者は少額ロットで慣れる
- 勝負どころでは5%リスクもあり
関連記事では、この資金管理の仕組み、ロットの計算方法をさらに詳しく解説しています。
4-2. ナンピンや祈りのトレードを避ける
含み損を抱えると「戻るまで待てばいい」と思いがちですが、それは危険です。
ナンピンでポジションを増やすほど損失は膨らみ、資金とメンタルの両方を削ります。
損切りしないことで一時的に救われることもありますが、長期的には資金を失う原因にしかなりません。
思惑が外れたら、一度リセットして冷静に立て直す。
これがトレーダーとしての健全な姿勢です。
- ナンピンは損失を拡大させるリスク行動
- 「戻るかも」は根拠ではない
- 一度リセットして再エントリーが正解
4-3. 損切りを受け入れるメンタルの作り方
結局のところ、損切りを受け入れる一番の方法は「メンタルに影響のない金額」でトレードすることです。
痛みを感じない範囲で取引すれば、損切りを冷静に受け止められます。
そして、可能な限り逆指値を使って自動的に損切りされる仕組みを作るのがベスト。
人間の感情を介さないルールを整えることで、安定したトレードができるようになります。
- 損切りで動揺しない金額で取引
- 逆指値を使って感情を排除
- 自動処理できる仕組みづくりが最強

1万円を損切りするのが辛いかどうかは人によると思いますが、10円の損切りでメンタルが崩れる人はいないと思います
まとめ:損切りを恐れず、戦略的にコントロールしよう
損切りは、トレーダーにとって避けて通れない行動です。
しかし、「損切り=負け」と捉えてしまうと、感情的になり、正しい判断ができなくなります。
実際には、損切りは資金を守り、次のチャンスに備えるための「戦略的撤退」です。
初心者のうちは「損切りしないほうが得するかも」と思いがちですが、結果として損失が膨らみ、取り返しがつかなくなるケースも多いです。
まずは損切りを「守りのスキル」として身につけることが、安定したトレードの第一歩になります。
損切りで大切なのは、感情ではなくルールで動くこと。
そのためには以下のポイントを押さえておきましょう。
- 損切りは「思惑が外れた」ときの自然な対応と捉える
- 資金に対して1回のリスクを抑え、メンタルを安定させる
- 逆指値を活用し、機械的に損切りできる仕組みを作る
- 損切りされても平常心を保てるロットサイズで取引する
損切りを避けるのではなく、「どう付き合うか」が勝ち続けるための分かれ道です。
小さな損を受け入れることで、大きな破綻を防げます。
最初は痛みを感じるかもしれませんが、それは相場で生き残るための必要な経験です。
損切りは「負け」ではなく「継続するための戦略」。
この意識を持てるようになると、トレードの視野が一段と広がります。
焦らず、自分のルールに基づいた損切りを積み重ねていきましょう。
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